不動産投資家・賃貸オーナーが知っておきたい

「AD」と「フリーレント」の本当の使い方

空室募集をしていると、

  • 「ADをつけましょう」
  • 「フリーレントを入れましょう」

と管理会社や仲介会社から提案されることがあります。

しかし、

なんとなく条件を追加してしまい、

  • 気づけば収益が大きく減っていた
  • それでも空室が埋まらない
  • 条件競争に巻き込まれている

そんなケースも少なくありません。

今回は、不動産投資家・賃貸オーナーとして知っておきたい、

「AD」と「フリーレント」の違いと使い方

について、実務的にわかりやすくお伝えします。


まず、ADとは?

ADとは、

Advertisement(アドバタイズメント)

の略で、

賃貸業界では一般的に

「仲介会社への広告料」

を意味します。

例えば、

  • 家賃80,000円
  • AD1ヶ月

なら、

客付けをした仲介会社へ
約8万円(+税)を支払うイメージです。

つまり、

「この物件を積極的に紹介してください」

という営業促進費です。


フリーレントとは?

フリーレントは、

「一定期間の家賃を無料にする」

募集条件です。

例えば、

  • 家賃80,000円
  • フリーレント1ヶ月

なら、

入居者は最初の1ヶ月分の家賃が無料になります。

これは、

「初期費用を軽くする施策」

と言えます。


実は、効く相手が違う

ここが非常に重要です。

AD

→ 仲介会社向け

フリーレント

→ 入居者向け

つまり、

同じ空室対策でも、
アプローチしている相手が違います。


ADが効果的なケース

ADが効きやすいのは、

「そもそも案内されにくい物件」

です。

例えば、

  • 築古
  • 駅遠
  • 競合物件が多い
  • 地方エリア
  • 供給過多エリア

など。

この場合、

まず重要なのは

「仲介会社に優先して紹介されること」

です。

どれだけ良い物件でも、

そもそも紹介されなければ決まりません。

そのためADは、

“案内される確率を上げる”

効果があります。


フリーレントが効果的なケース

逆に、

「内見はあるのに決まらない物件」

では、

フリーレントが効きやすいです。

例えば、

  • 問い合わせは来る
  • 内見もある
  • でも申込みにならない

こうしたケースでは、

最後の決め手で負けている可能性があります。

そこで、

「最初の家賃無料」

が心理的な後押しになります。

最近は、

  • 引越し費用
  • 家具家電費
  • 初期契約費

なども高騰しており、

入居者はかなり初期費用を気にしています。

そのため、

フリーレントは反応が出やすい施策でもあります。


ただし、両方には注意点もある

ここが大切です。


ADの注意点

① 利回りを圧迫する

例えば家賃7万円でAD2ヶ月なら、

14万円+税

が一気に出ていきます。

さらに、

  • 原状回復
  • 空室期間
  • クリーニング

なども重なると、

思った以上に収益が削られます。


② AD依存になる危険

一度高ADにすると、

仲介会社側で

「あの物件はAD高い」

認識になり、

下げた瞬間に反響が鈍ることがあります。

つまり、

“条件頼み”

になってしまう危険があります。


フリーレントの注意点

① 短期解約リスク

フリーレントだけを魅力に入居する人は、

条件が悪くなると動きやすい傾向があります。

そのため、

  • 1年未満解約で違約金
  • 半年未満解約で違約金2ヶ月

など、

短期解約違約金を設定するケースもあります。


② 家賃の価値を下げる場合がある

頻繁にフリーレントをつけると、

「この物件は条件を下げないと決まらない」

印象になることがあります。

結果として、

家賃交渉まで入りやすくなる場合があります。


実は一番重要なのは「物件力」

ここが本質です。

強い物件は、

  • ADなし
  • フリーレントなし

でも決まります。

つまり最終的には、

「住みたいと思われるか」

です。

例えば、

  • 清掃状態
  • 共用部
  • 室内写真
  • 設備
  • 管理状態
  • 家賃設定
  • ターゲット設計

これらが整っている物件は強いです。


これからの時代の空室対策

人口減少時代に入り、

「持っているだけで埋まる」

時代ではなくなっています。

だからこそ、

空室対策=経営戦略

です。

重要なのは、

  • どんな人に住んでもらいたいか
  • 周辺競合との差別化
  • 家賃設定
  • 募集戦略
  • 出口戦略

まで含めて考えることです。


おすすめの考え方

実務上は、

まずフリーレントで反応を見る

それでも弱ければ期間限定でAD追加

という流れが比較的自然です。

ただし、

一番避けたいのは、

「なんとなくADもフリーレントも増やす」

ことです。

条件を積み重ねるほど、

収益は確実に削られていきます。


まとめ

AD

→ 仲介会社を動かす施策

フリーレント

→ 入居者を動かす施策

どちらが正しいではなく、

「空室の原因がどこにあるか」

を分析することが重要です。

  • そもそも紹介されていないのか?
  • 内見はあるのに決まらないのか?
  • 家賃が合っていないのか?
  • 物件力の問題なのか?

ここを見極められるオーナーほど、
賃貸経営は安定していきます。


実は、空室対策は「買う前」から始まっている

高ADを積まないと決まらない物件を買うのか。

それとも、

自然に需要が入りやすい物件を選ぶのか。

実は、

“物件取得の時点”

で勝負は始まっています。

だからこそ重要なのは、

「安く買う」だけではなく

「埋まりやすい物件を見抜く力」

です。


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株式会社ファンハウス 代表 國井 義博